裂き織りとは
私の住んでいるここ、津軽では、かつて、絹はもちろん、木綿も貴重品でした。
気候が冷涼で綿花が育たないためです。そのため、雪が降る冬でも、麻の着物で過ごしていたそうです。
麻は、夏は涼しくていいのですが、冬は、その目の粗さから、とても寒さを凌げるはずもなく、そのために、津軽のクロスステッチとも言われるこぎん刺しが発達しました。
そして、時代がすすみ木綿が手に入りやすくなると、今度はその布を最後まで大事に使い切る方法として、裂き織りが発達しました。
穴があいたら、穴を塞ぎ、着古して着物として使えなくなると、布団カバーに作り直したり、それでも強度が落ちると、再度ほぐして布の状態に戻し、細く糸状に切り裂いて、それを横糸として機織りし、新しく布を仕上げました。
新品の木綿糸を紡いで着物を作ることが困難だった時代の津軽の先人たちの手間暇が、こうして裂き織りを作り出したのです。